ZEH住宅の基準となる「Ua値」が示す意味
#住宅性能関係 | 2019.06.27
家づくり
2017.08.07
注文住宅のメリットといえば、「オリジナルデザインによる設計」や「ピンポイントで要望を実現できる」など、建売住宅にはない自由な提案ができること。そうすると、土地柄に適した理想の家づくりというのも、提案次第では実現させやすいかもしれません。
そこで今回は、豪雪地帯で注文住宅を建てる場合に知っておくと役立つ、雪に強い「克雪住宅」についてご紹介します。まずは豪雪地帯の現状から見てみましょう。
豪雪地帯で暮らす人たちにとって積雪は避けられないものですが、除雪は死と隣り合わせで行わなければならない「ハイリスク」な作業でもあります。
ここでは、国土交通省が毎年、公表している「雪による死者数・負傷者数の推移」のなかから、平成18年のデータをピックアップしてみました。
●雪による死者数は151
国土交通省の調査によると平成18年の雪による死者数は「151人」に及ぶとされています。これは昭和56年の豪雪による死者、行方不明者を合わせた152人についで、戦後3番目に多くの人的被害を出した豪雪であったことになります。
主な内訳として、除雪作業中での死者(屋根の雪下ろし等/112人)が挙げられます。ちなみに、雪による負傷者数も「2,136人」と記録され、大きな災害であったことを示しています。
●65歳以上が被害に遭う傾向
平成18年の被害状況を分析してみると、雪による死者数151人の年齢別では、65歳以上が「98人」と60%以上の割合を占めています。
また、除雪作業中での死者は、65歳未満の「37人」に対し、65歳以上が「75人」と倍を記録しています。これについては、山間地などに見る「全国の豪雪地帯における過疎化とも関係する」と国土交通省は公表しています。
豪雪地帯でのハイリスクな問題点を踏まえると、注文住宅を検討する際は「屋根に雪が積もらない」「雪かきが不要な家にする」といった対策が必要といえるでしょう。
そこで、電熱方式の設備を用いて屋根の雪を溶かすなど、豪雪地帯で注文住宅を建てるときに役立つ「4種類の新技術」を見てみましょう。
●電熱方式
屋根などに「電熱ケーブル」を張り巡らせたり、「面状発熱体」を設置したりして、通電発熱させるのが電熱方式です。熱を利用するため、屋根上の雪が溶けやすくなり、凍結防止にもつながります。
面状発熱体は、床暖房などでも採用される薄型の発熱装置です。電気代がやや高くつきますが、耐久年数は長く、安定していると言われています。
●温水循環方式
ボイラーなどにより加熱した温水をパイプに流し込み、それを循環させるのが温水循環方式です。温水パイプは屋根に組み込むタイプが主流で、熱量調整もできます。
原理は電熱方式と似ていますが、省エネに優れているのが特徴です。一方、経年により効率低下が見られるので、パイプなどの掃除を定期的に行う必要があります。
●ヒートパイプ方式
パイプ自体が伝熱機能を持つヒートパイプ方式は、ボイラーなどが熱源となり、屋根などに設置されたパネル形状のヒートパイプに伝熱していくシステムです。
導入コストこそ高額なものの、「メンテナンス不要」「低ランニングコスト」といったメリットがあります。
●生活排熱を用いる方式
日常生活で排出される熱を利用するのが、生活排熱を用いる方式です。主な例では、融雪設備の設置後に生活排熱を屋根裏で循環させて、屋根上の雪を溶かすなどが挙げられます。
低ランニングコストである分、家屋を半耐雪型にするための導入コストがかかる、という一面もあります。また複雑な屋根形状の住宅にはむきません。
最後は、屋根上の雪を溶かす装置ではなく、家のつくりから積雪対策につながる「克雪住宅」について見てみましょう。
●克雪住宅とは?
住宅そのものが人力による雪下ろしを必要とせず、主に豪雪地帯を対象に推奨されているのが「克雪住宅」です。
以下に紹介する3つの構造が代表的なものです。また各市町村から補助金も支給されます。
1. 耐雪型住宅:雪の重みに耐えられる強化構造が特徴
2. 落雪型住宅:屋根に積もった雪を自動的に落とす(屋根を急勾配にする、滑りやすい材質を用いるなど)工夫が施されている
3. 融雪型住宅:電熱を利用した熱エネルギーでの融雪システムを住宅建築時に活用(前述した4種類の方式など)
●補助金適用の主な条件
克雪住宅の助成は、豪雪地帯を中心とした全国で実施していますが、その内容は各市町村によってさまざまです。
お住まいの自治体、市区町村の住宅関係部署に相談してみましょう。
参考までに、国土交通省の公表によると、「国が1/3・地方公共団体が1/3ずつ」助成費用を支給し、国費限度額は1戸あたり32.4万円とされています。
また、積雪が原因となって交通の渋滞や遮断が起きる「幅員4メートル以上・16メートル未満の道路の沿道」、地区全体の建ぺい率が30%を超える(積雪の被害を受けやすい面積基準)、向こう10年以内に克雪住宅の集団的整備の完了が見込まれる、といった採用条件も付属します。
豪雪地帯で注文住宅を建てる際のポイントは「土地柄を見据えた将来像を把握する」こと!
豪雪地帯における雪かきは、昨今の社会事情に見る高齢化や過疎化の影響を受け、「担い手がいない」「作業者が高齢」など、その現状は深刻な問題を抱えつつあります。
いま注文住宅の購入を検討しているのであれば、補助金が適用される克雪住宅を活用して、立地条件や理想にマッチした「雪かき要らずの家」を建ててみてはいかがでしょうか。