屋根裏部屋のデメリットとは
#間取り | 2017.03.22
間取りのこと
2017.11.12
「29坪って半端な数字」「30坪でいいのでは?」と思っている人も多いのではないでしょうか。ところがこの「29坪」という数字、実はちゃんとした理由があるのです。29坪を平米数に換算すると約95㎡ですが、この95㎡こそ今回の鍵を握ります。
そこで国が推奨する「95㎡に裏付けされた事実」に触れながら、29坪の間取り決めで役立つ情報や現実的なプランをご紹介します。
まずは、なぜ30坪に満たない29坪を推すのか、という理由を定義やデータから見てみましょう。
●29坪は都市の共同住宅に暮らす4人世帯の水準面積
国土交通省が「住生活基本計画における居住面積水準」を公表しています。そのデータには、住生活基本計画における「居住面積水準」が示されており、そのなかの誘導居住面積水準を見ると、都市型居住(都心やその周辺エリアを対象とし、アパートやマンションといった集合住宅で暮らすこと)を想定した世帯人数別の面積が出ています。
誘導居住面積水準とは、世帯ごとに異なるライフスタイルに応じて、豊かな生活を送るうえで必要とされる住宅面積の水準です。単身から4人世帯までを対象とし、住宅面積も各世帯の人数によって異なります。
それによると、4人世帯の水準は「95㎡=約29坪」と提示されています。
居住面積水準は、地域や建物の種類によっても分けられています。上に紹介したのは都市型居住ですが、一般型とされるデータもあります。
一般型とは、都市部以外の郊外を対象とし、戸建て住宅に住む人を想定したものです。一般型の方が「4人世帯で125㎡=約38坪」と水準面積を広く設定しています。
●データに裏付けされた29坪の認知度
誘導居住面積水準とは別に、最低居住面積水準というのもあります。最低居住面積水準とは、安定した最低限の生活を送るために必要な住宅面積の水準です。都市居住型や一般型の区別はなく、各世帯での水準面積も異なります。「4人世帯で50㎡=約15坪」と水準面積を狭くしてあるのが特徴です。
また、同省が公表した「子育て世帯の居住面積水準達成状況」によると、全国の5.6%が最低居住面積水準未満という結果も出ています。なお、誘導居住面積水準を達成している世帯は40.4%で、最低以上・誘導未満の世帯は53.4%です。
このデータを踏まえると、95㎡=約29坪が、一般的に住宅を建てるときの目標・基準として認識されていると考えられます。
都市居住型の4人世帯を対象とした誘導居住面積水準は「95㎡=約29坪」です。
また国土交通省は、世帯ごとのリビングやサニタリースペースといった「各部屋の水準面積」も一例として挙げています。3人世帯までしか公表されていないため、3人世帯での各部屋の割合をもとに、4人世帯分として算出してみました。
4人世帯における各部屋の水準面積
寝室・子ども部屋など:32.4㎡=9.8坪=19.6畳
リビング・ダイニング:16.3㎡=4.9坪=9.8畳
キッチン:5.1㎡=1.5坪=3.0畳
玄関:4.7㎡=1.4坪=2.8畳
収納:6.8㎡=2.1坪=4.2畳
トイレ:2.0㎡=0.6坪=1.2畳
風呂場:2.5㎡=0.8坪=1.6畳
洗面・洗濯場:1.5㎡=0.4坪=0.8畳
合計:71.3㎡=21.6坪=43.2畳
※動線空間と呼ばれる「廊下や階段」のスペース分は含まれていません。
では、具体的なプランを考えてみましょう。前述の各部屋の水準面積を参考にした、3LDKと4LDKの現実的なプランです。29坪で考える平屋のメリット・デメリットと一緒に見てみましょう。
●水準面積から3LDKと4LDKの間取りを考える
各部屋の水準面積や合計面積を見てみると、29坪に適した間取りは3LDKもしくは4LDKです。
LDKとは、リビング・ダイニング・キッチンの頭文字をとった略称で、サニタリースペースや玄関などは含みません。3LDKの場合はLDK以外に3部屋、4LDKの場合はLDK以外に4部屋を設けた間取りです。
前項の合計面積は71.3㎡なので、29坪である95㎡の間取りなら、あと15~20㎡=6~9畳くらいのスペースが残ります。寝室や子ども部屋などの32.4㎡=19.6畳と、1部屋6~9畳くらいのスペースを設ければ3LDKになります。
また、4LDKにしたい場合は、19.6畳と6~9畳くらいの合計スペース=約28畳を4部屋に振り分けることも可能です。その場合の1部屋の大きさはだいたい7畳くらいの換算です。
●平屋のメリットとデメリット
29坪は、マンションやアパートといった集合住宅向けの誘導居住面積水準ですが、戸建て住宅を希望するなら、平屋という手もあります。平屋は1階だけなので、階段スペースを気にする必要もありません。一般的に階段スペースは2畳ほどと考えられるので、平屋ならその分をサニタリースペースや玄関などに回せます。
また、平屋は1階だけで完結できることから生活動線も組みやすく、あえて廊下を設けないというのが一般的です。なので、廊下を長くとってしまうと、逆に平屋の持ち味を消してしまいます。居住スペースは広く設けたいところです。
デメリットとして考えられるのは、土地が広く必要ということです。29坪の平屋にした場合、土地もそれ以上必要になるので、土地探しやコストをきちんと計画しておく必要が出てきます。
29坪の住宅を希望する際、間取りの基準を知っていれば、新築で平屋を建てるにしても、4LDKの賃貸物件を契約するにしても、ある程度の目星がついて便利です。
暮らしやすいサイズともいえる29坪の住宅について、さらに具体的に考えたいなら、工務店で早めに相談をし、土地探しなどから計画的に進めていきましょう。