住宅ローンを賢く借り換えるポイント
#資金計画 | 2018.01.11
お金のこと
2017.08.10
一口に「戸建て住宅の維持費」と言っても、何を維持費とするか判断しにくいものです。そんな維持費ですが、戸建て住宅の場合は大きく分けて「税金」と「修繕費」の2つがあげられます。
今回は、税金と修繕費の内訳に触れながら、新築購入から30年間でかかる維持費の目安と、戸建て住宅とマンションの維持費の比較結果についてご紹介します。
参考:
維持費としてかかる税金には、固定資産税と都市計画税の2種類が存在します。さらに、それら2種類の税金は、建物代と土地代のそれぞれにかかるのが特徴です。
まずは、固定資産税と都市計画税の内訳を解説したうえで、2,000万円が相場価格といわれる新築物件を購入した場合に支払う、想定税額も見てみましょう。
●固定資産税と都市計画税
市町村が管轄する固定資産税は「1.4%の標準税率」が規定になります。ただし財政困難な市町村などでは標準税率を上回る場合があります。一方、都市計画税の場合は年率の上限を0.3%として、各市町村が定める税なので、各市町村によって税率が異なります。都市計画税も固定資産税同様、市町村が管轄します。
また、いずれの税金も固定資産税評価額というのが、税率を乗じる際のベースになります。3年に1度のペースで見直される固定資産税評価額は「土地」と「不動産(建物)」に分けて評価され、評価額の目安は土地が「公示価格の約7割」、不動産が「建築費の約5~7割」といわれています。
そのほか、固定資産税の不動産負担が減価償却によって変動したり、住宅用地の200平米以下の部分は1/6、200平米を超える部分は1/3の軽減措置が適用されたりするので、詳細を知りたい場合は各役場に問い合わせてみるとよいでしょう。
●年間税額の目安は7万円前後
では実際に例をあげて、固定資産税と都市計画税はどのくらいになるのかみてみましょう。
仮に、市町村の定める税率がそれぞれ固定資産税の税率が1.4%、都市計画税の税率が0.3%であり、購入した住宅が建設から3年以内の新築、一般住宅で、土地の面積が200平米以下で建物の床面積が120平米以下、土地、建物の公示価格が「建物500万円・土地1500万円」であったとします。
一般的に土地、建物の評価額は公示価格の7割程度と言われているので、土地、建物の評価額が「建物350万円・土地1,050万円」であったとすると、固定資産税は建物が
「350万(建物の評価額)×0.014(固定資産税の標準税率)×1/2(新築の一般住宅の固定資産税軽減)=24,500円(建物にかかる固定資産税)」となり、
土地が「1,050万(土地の評価額)×1/6(200平米以下の部分に対する軽減措置)×0.014(固定資産税の標準税率)=24,500円(土地にかかる固定資産税)」となります。
つまり「24,500円(建物にかかる固定資産税)+24,500円(土地にかかる固定資産税)=49,000円(固定資産税の総額)」となります。
次に、都市計画税は建物が「350万(建物の評価額)×0.003(都市計画税の税率)=10,500円(建物にかかる都市計画税)」となり、
土地が「1,050万(土地の評価額)×1/3(200平米以下の部分に対する軽減措置)×0.003(都市計画税の税率)=10,500円(建物にかかる都市計画税)」となります。
つまり「10,500円(建物にかかる都市計画税)+10,500円(土地にかかる都市計画税)=21,000円(都市計画税の総額)」となります。
2,000万円の戸建て住宅を購入する際は「49,000円(固定資産税)+21,000円(都市計画税)=70,000円」の年間税額がかかることになります。
続いては、税金とは別にかかる、建物を維持していくうえで必要な「修繕費用」について見てみましょう。
●修繕とは?
住宅建築で用いる際の修繕とは、建物の内外を問わず、経年劣化などによって損傷した箇所や壊れたものを繕い直すことです。主に賃貸マンションでは、家賃とは別に修繕積立金も支払うことで知られています。
戸建て住宅の場合は、外壁塗装や内装に見るクロスの張り替え工事などが、代表的な修繕箇所です。
●修繕箇所や修繕費用
修繕は1年単位で行うものではなく、10年に1回のペースで想定するのが一般的です。
また、修繕の際に検討しておきたい箇所は、外壁塗装やクロスの張り替えをはじめ、屋根・軒天・軒先塗装、樋・床下のメンテナンス、シロアリ駆除、サッシ回りのコーキングなどが挙げられます。
1回あたりの修繕費用は各箇所につき20万~100万円とされ、それらを30年間で計算すると「約690万円」だといわれています(日本FP協会調べ)。
戸建て住宅の維持費の内訳と総額は理解できても、比べるものがないと判断に困るものです。そこで、同条件でマンションを購入した場合の維持費と比較してみましょう。
●戸建て住宅における30年間の維持費は1,000万円以下!
まずは、戸建て住宅にかかる30年間分の維持費から見ていきましょう。本来、物件の評価額は3年ごとに見直されることになるため、実際値段は異なります。
今回は単純化するために物件の評価額が変わらないものとして計算しています。(固定資産税は上記の事例を用いています)
「年間税額7万円×30年間+修繕費690万円=900万円』です。一方、マンションの場合は同額で同じ面積の物件を購入したとしても、鉄筋コンクリート造などの理由から、減価償却期間が長く設定されるため、不動産の固定資産税評価額は割高になるといわれています。
そうしたことから、それぞれの環境、工法などによっても評価額がことなりますので、大まかな数字ということになりますが、戸建て住宅と同条件のマンションの税額は「約2倍増し」で見積もっておくとよいでしょう。
●マンションにおける30年間の維持費は約1,500万円!
前述したマンションの税額ほか、平成23年に国土交通省が公表した「マンション修繕積立金に関するガイドライン」によると、マンションにかかる30年間分の維持費は、
『年間税額14万円(戸建て住宅の2倍で計算)×30年間+修繕費936万円(毎月の管理費と修繕積立金の平均額2.6万円で計算)=1,356万円』です。
ということは、30年間で想定した場合、マンションの維持費より戸建て住宅の維持費の方が400万円以上も安くなります。
戸建て住宅を購入する場合は、月額や年間の維持費はもちろん、30年後くらいまでの長期的なトータル維持費も想定し、毎月のローン以外に「維持費の予算」を視野に入れておくことが大切です。維持費として毎月貯蓄しておけば、万が一の大きな出費があったときでも対応しやすくなります。
ぜひ今月から積み立てを検討してみてはいかがでしょうか。