地震に強い家を作るために~耐震、制震、免震とは?~
#建て方・工法 | 2016.10.19
住宅性能のこと
2017.09.14
新築を購入するとなれば、外観や間取りのデザインはもちろん、家自体の性能面も重視したいところです。
なかでも「全館空調システム」は、家づくりを代表する高性能な設備といわれ、室内の温度差が激しくなる青森県でも注目されつつあります。
そこで今回は、戸建て住宅における全館空調システムの仕組みをはじめ、青森県で設置した場合の費用やランニングコスト、設置時の注意点・ポイントなどをご紹介します。
参考:
まずは、戸建て住宅における全館空調システムの仕組みと、建築基準法の改正に関連して全館空調システムが普及していった背景を見てみましょう。
●全館空調システムの仕組み
まず、全館空調システムとは、1つの管理システムで家全体の空調設備を管理することが可能な設備のことを指します。
一般的には、熱交換換気システムを中心に家の天井や壁にダクトを張り巡らせ、建物内の空気を循環させるという構造になっています。換気の際には温度調節も合わせて行うため、24時間常にすべての部屋が快適な状態に保たれることになります。
●全館空調システムが普及した背景
全館空調システムが普及した背景には、2003年の建築基準法改正の影響が大きいといわれています。この時の法改正により、法改正以後に着工された居室を有するすべての建築物に機械換気設備の設置が義務付けられました。
これは当時問題になっていたシックハウス症候群に対処したもので、気密性能の向上した近年の住宅には効率的な換気システムを導入しなければならなくなったということです。このことが全館空調システムの普及を促すことになりました。
それに加え、気温差によるヒートショック現象(急激な温度差により、血圧が急変し、脳卒中や心筋梗塞を引き起こす現象)が問題となり、部屋ごとの室温を均等化させる全館空調システムが注目されたことも普及の後押しになったといえるでしょう。
次に、全館空調システムの初期コスト、ランニングコスト、設置時の注意点を見てみましょう。
●全館空調システムの初期コスト
戸建て住宅で全館空調システムを導入する場合の初期コストは、延床面積35坪の場合は「150~200万円」、延床面積が55坪ほどの場合は「190〜250万円」が費用の目安といわれています。
ただし、初期コストは建物の気密性や断熱性によっても変動するため、冬季の寒さが厳しい青森県では、住宅の気密性や断熱性の違いから、初期コストの目安が異なる可能性もありますので、導入を検討する際には取り扱っている工務店などに見積もりを取ってもらうことが大切です。
●全館空調システムのランニングコスト
全館空調システムは家庭用電気とは別の「低圧電気」で契約するため、電気代を「オール電化の深夜料金と同程度」にまで抑えられる、という特徴があります。その料金で計算した場合、全館空調システムの年間の電気代は「84,000円」程度、月額にして約7,000円といわれています(暖房20℃・冷房28℃の設定で24時間稼働)。
一方、ルームエアコンの場合は(暖房20℃・冷房28℃の設定で1日18時間稼働)、77,600~90,700円程度が電気代の目安とされています。
それぞれ長所短所があるため値段だけで一概にいうことはできませんが、全館空調で24時間稼働させ続けてもルームエアコンと大差ない電気代だというのは大きな魅力といえるかもしれませんね。
●全館空調システムを設置する際の注意点
全館空調システムを設置する際の初期コストには一般的に、空調機器や換気装置の設置工事、ダクトの配管工事、冷媒管・ドレン管隠蔽工事、信号配線工事、試運転および調整と、引き渡し時の説明までが含まれています。
一方、空調機用の電源の引き込みや、24時間換気装置の電源配線、ダクトスペースの造作などは、建築費用として全館空調システムの費用とは別に見積もられるケースが多いといわれています。
各設備の電源引き込みやダクトスペースの造作などは全館空調システムを稼働させるためにも絶対必要なものですので、全館空調システムの設置費用だけでなく、設置するために必要な設備の工事費用も見積もりをして全体でどの程度費用が必要になるのか把握しておくことが重要です。
最後は全館空調システムのメリット・デメリットに触れながら、メンテナンスをする際に役立つ設置時のポイントをまとめてみました。
●全館空調システムのメリットとデメリット
室温を一定に保てる全館空調システムを設置すれば、結露やカビの発生を防げるだけでなく、室温の急激な寒暖差から生じるヒートショックの予防も期待できます。とはいえ、全館空調システムには、メンテナンスの頻度が「月1回程度」と多く手間がかかり、「故障時に空調システムが全停止する」といったデメリットがあることも想定しておかなければなりません。
●設置時のポイント
前述したデメリットを踏まえると、「点検口が適度な大きさ・間隔で設けられているか」ということが設置時における1番のポイントといえるでしょう。メンテナンスの際は、熱交換換気ユニットだけでなく、長いダクトのなかも清掃する必要があるので、利用しやすい点検口を設けておくに越したことはありません。
また、ダクト清掃のときには、ダクトのジョイント部から切り離した方が掃除しやすいため、その付近にも点検口を設けると良いでしょう。
青森県で全館空調システムを導入する場合は「故障させずに使えるかどうか」が最も重要なポイントといえるでしょう。
全館空調システムが故障すれば、すべての部屋の空調及び建物内の空気の循環がストップするので、特に寒さの厳しい冬場に故障してしまった場合には死活問題となる可能性も考えられます。
そうならないためにも、今回ご紹介した設置時のポイントを踏まえ、空調の専門家を有するハウスメーカーに相談するなどして、メンテナンスがしやすい導入方法を検討してみてはいかがでしょうか。